体外受精とは?
体外受精とは、卵子と精子を一度体外に取り出して受精させ、受精後の分割胚を子宮に移植する方法です。
一連の操作を「体外受精・胚移植(IVF-ET)」と呼んでいます。
現在の日本では、年間2万人以上の新しい命が、体外受精や顕微授精で生まれています。
タイミング法、
人工授精(AIH)など一般不妊治療を続けても効果がみられない場合に、
高度医療である体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)に進みます。

以前は受精後の分割胚は早く子宮に戻す新鮮胚移植が主流でしたが、現在は技術の向上やより受精卵を融解凍結してもその質に悪影響を与える
ことはなく、新鮮胚移植に比べて胎児に異常が起こることもなく、今では凍結胚移植の方が多くなっています。
こんな症状のカップルが体外受精の対象です!
@卵管障害がある
卵管が詰まったり細くなったりすると、卵子や精子が通過できません。
両方の卵管にダメージがあると体外受精の適応に。
A排卵障害がある
多くはホルモン分泌の異常によって起こります。
排卵が不規則、無排卵が続くなどの症状の方。
B重度の子宮内膜症
子宮内膜症により卵管が癒着して卵のピックアップ障害の原因になる方。
チョコレートのう腫ができて排卵が妨げられている方。
C男性不妊
乏精子症や精子無力症
などで、人工授精(AIH)が難しい方。
Dその他
不妊に原因が見付からない機能性不妊の方。
抗精子抗体が強い陽性を示す方。
体外受精の副作用
@薬の副作用
A麻酔の副作用
B採卵時の出血・感染
C卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
OHSSになりやすい要因
・35歳以下(卵巣の反応がいいため)
・痩せ型の人
・PCOS(多のう胞性卵巣症候群)の人
・卵巣に多数の卵胞が存在
・血中エストラジオール値が3000pg/ml以上
体外受精のリスク
@流産
流産の確率は、自然妊娠と差はありません。15〜20%程度と言われています。
A子宮外妊娠
自然妊娠と比較すると若干高くなる可能性があります。体外受精を受ける女性は卵管の状態が悪い場合が多いことや、複数の胚を戻すので移植の際に胚が卵管へ押されてしまうことがあるためと考えられています。
B胞状奇胎
自然妊娠と発生率は差はなく、ごくまれです。
C多胎妊娠
体外受精での多胎妊娠の確率は、自然妊娠にくらべると高まります。例えば、子宮内に2個の胚を戻す場合、2個とも着床すれば双子ということになるからです。
日本産婦人科学会は、平成20年に多胎妊娠を防止するため以下の見解を示しています。
『生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。
ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する。治療を受ける夫婦に対しては、移植しない胚を後の治療周期で利用するために凍結保存する技術のあることを、必ず提示しなければならない。』
D子宮内胎児死亡
自然妊娠と差はありません。
体外受精 -採卵-
体外受精において重要な第一段階は採卵です。良質な卵子を採取し妊娠を成功させるため、通常は排卵誘発剤などを使用した卵巣刺激で複数の卵子を育てて採卵します。
年齢や体質によって各々にあった卵巣刺激の方法は異なりますので、医師と相談しながら方法を決めます。
| ロング法 | 前の周期の高温相途中から排卵抑制のためのGnRHアゴニストを使用します。 卵巣の反応が比較的よい人向けです。 |
| ショート法 | 採卵周期の月経2日目からGnRHアゴニストを使い出す方法で、ロング法で卵がうまく育たない、卵巣の働きがあまりよくない人向け。 |
| アンタゴニスト法 | ロング法で卵がうまく育たない、卵巣の働きがあまりよくない人向け。 アンタゴニスト法は、排卵を抑える効果に即効性があるため、ロング法にくらべ、使用期間が短くて済み、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の発生が少なくなります。 |
| 自然周期 | 自然に成長した卵胞から採卵する方法です。通常取れる卵子の数は1個です。 排卵誘発剤を使わないので身体への負担は少なくてすみますが、採卵日前に自然排卵したり、空胞で採卵できない場合があるなどのデメリットがあります。 |
採精と受精・培養
採卵をする日・時間にあわせて精液を自宅もしくは、採卵を行う治療施設にて採取します。
採卵日が決定しても男性が事情により来院できない場合、事前に採取した精子を保存しておき、採卵時に融解して使用することができます(治療施設に確認してください)。
凍結精子を使用した場合と、凍結しない精子との妊娠率の差はありません。
重度の男性不妊の場合は、手術によって精巣から直接精子を採取することもあります。
採取した精子は濃縮洗浄され、「シャーレ」と呼ばれる容器の中で卵子にふりかけます。その際、1個の卵子と5〜10万個の精子を一緒にして自然に受精するのを待ちます。
精子の運動率が悪かったり、精子数が少ない場合は、人工的に卵子の中に精子を入れる顕微授精を行います。
受精した受精卵は培養液の中で分割を始め、分割胚になるまで培養します。
その後どの段階まで培養してから、子宮に移植するかは、個人や医師の判断になります。
体外受精 −胚移植−
胚移植には2つの方法があります。
・子宮頸管胚移植:一般的な方法で、外子宮口(子宮の入り口)から子宮内膜の上に戻す。
・経筋層胚移植 :頸管部からETチューブが入らないときに、針で直接子宮筋層を刺して、子宮内膜に胚を埋め込む。
体外受精で胚移植には2つの方法があります。
新鮮胚移植 :採卵3日後または5日後に状態の良好な胚を子宮に戻します。
凍結融解胚移植:状態の良好な胚を凍結保存し、次周期で子宮の状態を整えて胚を子宮に戻します。
体外受精や顕微授精での卵巣刺激で複数個の卵子が採卵できても、子宮に戻せる胚は多胎の予防を考えて2個までです。そこで残った良好な胚を凍結保存して、次回の
不妊治療の際に融解して使う方法を凍結融解胚移植といいます。
現在は技術の向上により受精卵を融解凍結してもその質に悪影響を与えることはなく、新鮮胚移植に比べて胎児に異常が起こることもなく、着床率も新鮮胚移植と変わりません。
凍結融解胚移植のメリット
卵子を育てる為に使用される薬剤は、胚のベッドとなる子宮内膜を育ちにくくするという反面を持ち合わせています。
胚を凍結保存することは以下のようなメリットが挙げられます。
・ 子宮内膜の状態が良いときに移植ができ、着床の可能性を高める。
・ 卵胞過剰刺激症候群を防止できる。
・ 移植しなかった余剰胚を保存できる。
| 凍結・融解のタイミング | |||
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前核期胚 | 採卵1日後 | 融解後1〜2日間培養して初期胚移植をするか、4日間培養して胚盤胞移植を行います。 |
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初期胚 | 採卵3日後 | 融解後、数時間培養して当日に移植するか、2日間培養して胚盤胞移植を行います。 |
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胚盤胞 | 採卵5日後 | 融解後、数時間培養して当日に移植します。 |
その蘇生率は前核期胚凍結が一番良いと言われています。
胚盤胞までの培養は、良好胚であっても2〜8細胞期にその成長を止めてしまうものがあるため、着床の可能性の高い胚を選別するのに有効です。
凍結融解胚の場合、胚(受精卵)を覆う透明帯が固くなってしまうことがあり、胚の孵化(ハッチング)を助けるためにアシストハッチングを行うことがあります。
二段階胚移植
二段階胚移植とは、初期胚移植と胚盤胞移植を組み合わせる方法で、最初に初期胚を、2〜3日後に胚盤胞を子宮に送り込みます。
この方法のメリットは、受精卵の着床率が高まること。最初に初期胚が移植されると、子宮に信号が送られて子宮の受入れ準備が整います。
このため、2回目に送り込まれた胚盤胞はより着床しやすくなり、妊娠率が高まるのです。
胚盤胞の状態が良好なら、妊娠率は60%と高く、従来の方法で妊娠できなかった人にも、妊娠の可能性が広がっています。ただし、合計2個の胚を移植することから、
多胎妊娠のリスクが高くなるため、最初からすすめられる方法ではありません。
SEET法とは、二段階胚移植が発展したものです。受精後、5日間培養して、胚盤胞と胚盤胞の入っていた培養液を別々に凍結します。 この培養液には、胚盤胞から分泌された因子が含まれており、この因子により子宮内膜が着床しやすい内膜に整えるといわれています。具体的には、ホルモン補充周期に2日目もしくは3日目で胚盤胞の入っていた培養液を子宮腔内にカテーテルを用いて注入いたします。 その後、5日目で凍結していた胚盤胞を融解して、胚盤胞移植を行います。多胎を防ぎ、着床率を上げます。




